2024/02/22

第46回学生設計優秀作品展 作品紹介[2]

MADE IN HONG KONG

工学院大学建築学部 建築デザイン学科 川本航佑

[作品データ]
建物用途:URBAN HACKING
敷地所在地:香港 上環

[制作データ]
作品総点数:模型1点、図面6枚
制作期間:構想- 1か月、制作- 2か月
主な模型材料:グレー台紙、黄ボール、角棒、丸棒、植栽多数、バルサ材、パミス等

[設計主旨]
幼少期7年間暮らした香港。アヘン戦争によりイギリス植民地になった香港は領土返還後,一国二制度となり、中国 からの規制は厳しくなる。実際私が帰国した2012年の後、中国に対して、2つの大きなデモが起き、香港の街並みや 風景の変化が気になり、2週間フィールドサーヴェイに訪れた。まず香港をフィールドサーヴェイし、採取した建築 的モチーフをカタログ化する。敷地を実測調査する中で発見したギャップ空間にカタログの要素を複数組み合わせ挿 入することで香港の遺伝子を持った20の建築装置を既存建築に寄生させる。これらは敷地の建築を1つに統合するだ けでなく、香港都市モデルとして全体に波及し得る。これらは香港が独自に構築してきた街並みを生活に合わせて強 化しながら、街のストックとして継承される。さらに接続される建築群は本国に対する香港の連帯する精神性をも保 存し、継承する。力強く生きる人々,そんな人々の生活を私は力強く継承したい。

[推薦のことば]
工学院大学 教授 樫原徹
卒業制作とは建築家の卵たちにとって単なる卒業要件にとどまらず、欠くことのできない通過儀礼のような人生に一 度きりのプロジェクトである。川本君は幼い頃過ごした街を再び訪れ、調査によって記憶を原風景へと昇華し、カタ ログ化することで他者と共有することを試みた。 2022年秋、コロナが一段落した後、川本君は香港に飛ぶ。夜は重慶大厦に泊まりながら来る日も来る日も街中をほっ つき歩き、手当たり次第に写真を撮りまくり、気になるディテールを実測しまくった。なんという自由で贅沢な時間 なのだろう。居場所も予定も人に決められてままならない身分の私は川本君を心から嫉妬してしまう。 川本君はカタログの中のエレメントたちが香港の他所で他者により交配されて、新たな突然変異を生むことを希望し ている。私はそれに加え、川本君自身がこれらを自身の体内で時間をかけて発酵させて、新しい建築の原料とすると を期待している。


第46回学生設計優秀作品展 作品集から
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