2024/02/22

第46回学生設計優秀作品展 作品紹介[1]

榛原演劇ビエンナーレ計画

近畿大学建築学部 建築学科 楠原萌生

[作品データ]
建物用途:劇場・滞在施設
敷地所在地:奈良県宇陀市榛原

[制作データ]
作品総点数:模型4点、図面7枚
制作期間:構想- 5か月、制作- 5週間
主な模型材料:スチレンボード、スタイロフォーム、桧角材、バルサ材

[設計主旨]
奈良県榛原は、かつて、江戸時代には伊勢本街道の宿場町として人々を受け入れ、戦後には、日本の最先端の教育の町として知られていた。この失われた2つの特質を、榛原が持つ演劇文化のポテンシャルを活かし、(1)アーティス ト・イン・レジデンスによりアーティストや多くの観客を受け入れる機能、(2)アーティストが行う演劇教育による教育の町としての機能、により再生させる。街道沿いにある2つの空き地と廃れた山の斜面を敷地として、(A)屋内 劇場+演劇教育ワークショップ、(B)アーティスト滞在拠点+レストラン、(C)野外劇場を配置する。普段はアーティストの創作活動と演劇教育を行い、月に1度劇場で公演を行う。また2年に1度(A)(B)(C)が連携し「榛原演劇祭」を開催する。演劇を軸に、町の歴史に根差した新たな場とイベントで、榛原に活気を取り戻す計画である。

[推薦のことば]
近畿大学 建築学部 准教授 垣田博之
楠原君は、出身地である奈良県榛原を敷地として選んだ。街の歴史を調べる中で、今は失われているかつての特色を明らかにし、それを、現在の社会や文化との関連の中で再生する方法を探っていった。 個々の建築は、谷間に展開する街の地形的特質を生かし、幼稚園や旧庄屋邸などの既存施設とつながることで新たな場を構成する設計となっており、素直で空間の魅力が感じ取れるものとなっている。また、作品が榛原という街固有 の個性への緻密な洞察によって成立していることが、逆に普遍的な可能性の広がりを感じさせる力作といえる。 楠原君が、この卒業設計の過程で得た力を今後も磨き上げ、建築設計の分野で活躍できる人として、さらに成長していくことを希望する。


第46回学生設計優秀作品展 作品集から
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