2023/05/18

第45回学生設計優秀作品展 作品紹介[4]

こどもホスピスの森
- 人を迎える場の創出で認識を変える -

芝浦工業大学 建築学部建築学科 UAコース(都市・建築デザインコース)漆原史織

[作品データ]
建物用途:医療施設+複合施設
敷地所在地:東京都府中市

[制作データ]
作品総点数:模型5点、図面13枚
制作期間:構想 - 8か月、制作 - 4週間
主な模型材料:バルサ、スチレンペーパー、ひのき角材、画用紙、カスミ草、スポンジ

[設計主旨]
こどもホスピスとは重たい病気を持つこどもが治療が受けられる場所で家族と豊かな時間を過ごす施設です。ここは病院建築と死を待つ場所という負のイメージによって行動・印象制限を受け助けを求めづらくなっています。そこで実際に調査を行いランドスケープデザインなどの外部形成に重きを置いた建築的操作を行うことでランドスケープを取り込んだ外部と内部が複雑に入り交じりあい、散歩道が入り込んだり木が屋根の代わりとなった曖昧さが増した空間がたくさんできます。自然に囲まれ憩いの場となったこどもホスピスに人々は魅力を感じ、迎え入れ実際に見て関わることで認知してもらい、ここは病気のこどもが普通の子供と同じように遊び学ぶ場所であるという生の認識に変わるきっかけづくりをします。

[推薦のことば]
芝浦工業大学 准教授 小塙芳秀

「こどもホスピス」という非常に難しく繊細なテーマに正面から取り組んだ力作です。都内における放置された土地に「生」を与え自然環境の整備と活用を目的とすると同時に、ランドスケープが「生」を共有するこどもホスピスのプログラムをサポートする役割も担っています。こどもホスピスに必要と思われる複数のプログラムを擁する建物は、植物の種類と地形の関係から配置が決まり、また地形を巧みに操作しながら植栽を建築内部に引き寄せることで、植物が患者やその家族の精神的ケアにつながる空間的工夫がなされています。 漆原さんは、調査やインタビューを通して、こどもとその家族が生きる時間を大切にし、緩やかに社会と関わりを持つことが必要とされていることを理解し、公共性を持つこどもホスピスを設計することで、プライベートとパブリックの 関係性についても言及ができています。複雑なテーマを幾重にも織り交ぜた完成度の高い作品です。



第45回学生設計優秀作品展 作品集から
当サイトの情報を転載、複製、改変等は禁止いたします。