2023/05/18

第45回学生設計優秀作品展 作品紹介[5]

護岸再編
- 街と河川を繋ぐ護岸の提案 -

東京都市大学工学部 建築学科 横田桃華

[作品データ]
建物用途:集合住宅
敷地所在地:東京都江東区永代1丁目1の1

[制作データ]
作品総点数:模型1点、図面6枚
制作期間:構想 - 2か月、制作 - 3週間

[設計主旨]
東京都の下町低地(隅田川沿い)は昔、水運などが盛んで川との繋がりが深かったが、工場の発展により地盤が川の水位と同様、もしくはそれ以下になってしまった。洪水が起こるとこの区域一帯が水没してしまうため、河川には背の高い直立のコンクリート護岸が上流から下流にかけて建てられ、川と街は分断されてしまっている。また、工場跡地には護岸のすぐ後ろに住宅や集合住宅が密集しており、多くの人が住んでいるが、護岸によって川との繋がりを感じ難くなっている。そこで、護岸とすぐ後ろの住宅を一体化し、河川との繋がりをつくるキッカケとなる建築を提案する。また、水上バスが通っているものの、実際に水の交通を日常的に利用している人は少ない。そこで、住居に住んでいる人が水の交通を気軽に利用できる集合住宅とする。

[推薦のことば]
東京都市大学 建築都市デザイン学部 建築学科 教授 堀場 弘

横田さんの提案は隅田川の護岸が巨大なコンクリート製の堤防によって街と水辺を分断している状況に問題意識を持ったことがきっかけである。都市の境界面についての卒業論文と併せて都市の内部に存在する境界面への関心がある逆に この境界を活用した建築によって、水と街をつなぐ新しい価値を創り出せるのではないかという仮説に基づいた提案である。また、土木構築物と建築の融合という点でも価値がある。通常護岸や土木構築物と建築は全く別のもので、存在も切り離されている。「護岸再編」と題して、護岸の形状を作り変え、さらにそれを建築に利用することによって土木と建築が一体となった都市スケールの建築として、分断ではなく接着するような役割を果たすものとして構想されている。護岸としての機能を残しながら、強固な壁を活用した開放的な住まいを含む建築の提案である。住まいから都市的、 土木的なスケールまでの大きなパースペクティブを描いている。




第45回学生設計優秀作品展 作品集から
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